夏休み 3日目

昨日少し述べた総合科学技術・イノベーション会議の資料について、簡略な説明。

まず、ここ数年で大学法人の強化のための統合の動きが見られる。活発になっているというほどではないが、まあ少し増えるなという程度。 学校教育法に基づく統合であれば、 日本の大学統合一覧 - Wikipedia を見てもらうのがはやい。さらに、大学を経営する法人の統合というものがある。有名なところでは名古屋大学岐阜大学による東海国立大学機構の設立であったり、まだ構想段階のようだが静岡大学浜松医科大学の統合構想であったりといろいろな例がある*1。 要は 18 歳人口が減少し、さらに運営交付金が減る中で大学の生存戦略として統合が競争力を高めるための選択肢として浮上しつつあるのである。

さて、本論に戻ろう。ここでは資料1だけ。のっけから諸外国の大学は着実に成長している一方で国内大学の成長率が低いことが指摘されている。まあ日本の大学は基本的には自分で稼いでこなかったし、運営交付金がずーーーっと減少してるんだしそりゃそうやろ以外の感想が無いのだが、何しろこれは諸外国の大学は長期の成長を大前提に意思決定やマネジメント、経営幹部体制の整備を行っていることで説明できるらしい。一番最後は東京大学さんも理事をいろいろ設置してやっている気がするのだが、まあ日本政府が長期の成長を前提にしていなさそうだという意味ではそんなに外れていない。

さて、そしてそのような経営体としての大学を目指すと何をすることになるかという話なのだが、まず潤沢な外部資金に確保が求められるらしい。そしてそのために大学ファンドというものを提案すると。まあこれは東京大学さんが前総長のときに始めてましたね。今回はそれをいろいろな大学にもやってほしいということらしい。

ここらへんでさっきの大学の競争力の話とつながってくるのだが、大首都圏(おそらく東京・大阪・愛知)以外の大学を取り巻く現状として、若者の県外への流出人口が高いということが指摘されている。まあこれは東京大学さんの構成員の出身都道府県とかを思い浮かべると自然だろう。そしてこれを防ぐための施策がいろいろあるのだが、その主体が内閣府であったり文科省であったりあるいは大学自体であったりとバラバラになっていることが問題視されている。つまり、最後のスライドにあるように「政府一丸となった」支援を行うのだという。そんなんしてもいい結果出ないやろ。 まあ結果がどうなるかはともかく、中核大学がそれぞれの「"特色ある強み"を十分に発揮」できるようなサポート体制というのがどうなるかは興味深い。「大学×自治体×産業界の先導的リーダーの成功体験から学び」とかいう文言があるが、今の産業界って成功してるんですか!? ここから推測するとやはり産業界に所属していた人を積極的に入れましょうという話になるのかな。

以上、軽く突っ込みつつ大雑把に概観したが、この施策は本当に大学の競争力を上げるのだろうか、という論証がかなり少ない気がしている。2枚目の「米英の大学は国内外から経験・実績のある学長を登用」で傍証にしているつもりなんだろうか。やっぱり相変わらず金が無く、今できる弥縫策を追求した結果という感じがする*2。一応、資料2を見ると大学に期待される役割として「日本が提唱したSociety 5.0の実現を牽引する主役としての役割が期待されており、学術の中心として、(中略)社会との間で適切な価値づけを行い、経営体として成長させていくこと」ということが書かれており、これを大学の力の基準にするならば確かに上の施策によって大学の競争力は向上するのかもしれない。しかしそのとき、大学の研究力の評価が抜け落ちていないかに留意しなければならないはずだ。以後は資料2にざっくり書いてありそうだが、面倒なのでやるとしてもまた後日。

因みに資料4は弘前大学が実際に地域の中核大学として果たした役割について解説しているが、あまり具体的な情報は無かった。解説はしない。

さて今日あったことは、『Xの悲劇』を全部読んだこと、フィナンシャルプランナーの受験を勧められたことくらいか。来年1月のフィナンシャルプランナーの試験申し込み締切が 11 月末日だからデータベースの合格発表を待っていると間に合わないんだよな。さてどうしたものやら。一応資金運用とかの知識はあってもいいのかなとは思うが……。

ワクチン接種状況について、まあ順調に上がっているのでこのペースなら2週間後くらいにアメリカを抜かすだろう。まあそもそもアメリカと日本では年齢の人口構成がかなり変わってくることに留意する必要はある。

f:id:le_livre_blanc:20210829223744p:plain
本日時点における人口1億人以上の国家におけるワクチン接種の進捗状況
ワクチン接種回数が人口に等しくなるのは明日か明後日ですかね。まあ水曜の職域があればほぼ確実に超えそう。

そういえばワクチンの進捗予想を書いていなかった。夏休みの最後あたりに見返せると楽しいので書いておこう。おそらく9月中旬から末にかけて接種回数が明確にペースダウンする。職域を入れても1日 100 万回行かないくらいかな。それで1回目の接種が低調になる一方で2回目接種はペース維持。 10 月の中旬くらいまでペースを維持しそう。あとは遅い自治体が消耗戦でズルズルズルズルやって 11 月に突入、並行して医療従事者のブースターショットが始まる、くらいの展開かな。具体的な数字を書いておくと9月末日に1回目が 74% ,2回目が 67% といったところだろうか。そして 10 月の中旬頃にそれぞれ 77% ,71% とかで。

医クラを見る限り、デルタ株に対する入院ならびに重症化予防効果はかなり長く維持される(一方で、感染予防効果は4ヶ月程度で切れる)ようだ。つまり、4ヶ月後が問題。高齢者とかで言えば 11 月あたりからですかね。やれやれ、ワクチンがこんな有様なのに愛知で某イベントは密になりまくってるしなぁ……。

あと大学が秋学期どうするかは注視の必要がありそう。湘南工科大学に Anti ワクチンが多いという不穏な話を観測したが、まあそういうのも含めて。東京大学さんの最終的な接種率も知りたいですね。体感では8割くらい受けていて、まだ接種していない中には明確な Anti ワクチンはいなくて「院試で忙しい」「予約を取るのが面倒」「予約を取ったが予定通りに会場に行けなかった」という感じ。

明日は大事な用があるので早めに寝ていく。久々に楽しみですね。

*1:参考までに https://dot.asahi.com/print_image/index.html?photo=2019012300011_2 を貼っておこう

*2:どうでもいい話:この記事は Ubuntu で書いていたのだが、 Mozc のキーボードが「びほうさく」を一発変換してくれずキレてしまった。やはり日本語入力に関しては Windows に軍配が上がるな……